実績紹介
某ビル耐震診断、耐震補強及び監理業務
建物の概要
用途:事務所
構造:鉄筋コンクリート造
規模:地上4階、塔屋1階建て
面積:延床面積3,827㎡
施工:昭和37年
業務の内容
①現地調査
②耐震診断
③耐震補強計画
④耐震補強設計
⑤耐震補強工事監理
①現地調査
耐震診断に先立ち現地調査を行い、現在の建物が新築時の設計図から改造されていないか設計図と照合する。また、構造的な劣化状況であるひび割れ、変形、老朽化、不同沈下などの有無を確認し記録する。
現在のコンクリートの強度を調べるため、建物のコンクリートの一部をコア抜きで採取し、圧縮強度試験や中性化試験などを行う。
②耐震診断
耐震診断は、現地調査の結果をもとに、柱、梁、壁、床などの構造部材の構造計算を行い、耐震性能を総合的に評価する。
また、非構造部材である仕上げ材やブロック間仕切り、庇などの耐震性能も構造計算で確認する。
③耐震補強計画
耐震診断で耐震性能が満足しなかった場合、どのような工法でどれだけのものをどこに補強すればよいかを計画し、構造計算で安全であることを確認することが耐震補強計画である。
今回は、事務所を使用しながら補強工事の施工ができる、外部での補強工法を提案した。補強位置は、外観デザイン、補強の安心感が得られることなどを考慮し決定した。内部での補強が必要な箇所は、短期間・小スペース・低コストで施工できる工法を採用した。
また、補強工事にあわせた内外装の改修だけでなく、断熱や遮音など建物価値、執務環境向上の提案も合わせて行った。

④耐震補強計画
耐震補強計画に基づき、施工ができるよう詳細な設計をおこなうのが耐震補強設計である。
鉄骨のサイズやボルトの本数、鉄筋の径・本数・ピッチなど、詳細を決定して構造図面として作図する。その他に仕様書、意匠図、工事費を算出した設計書を作成する。

⑤耐震補強工事監理
工事を設計図書と照合し、設計図書とおりに実施されているか、されていないかを確認することが、工事監理である。
鉄骨のサイズやボルトの本数、鉄筋の径・本数・ピッチなど、一つ一つ確認し、設計図とおりであることを確認する。
古い建物なので、壊してみると設計図と違っていたということもあり、そんな時こそ構造設計者としての腕のみせところで、柔軟な発想と計算に裏付けされた根拠で、問題を解決するのです。

担当者から
耐震診断から補強工事完了まで長期間の業務であったが、耐震補強計画が特に大変だった。工法選定では、執務しながらの施工、コスト、施工・安全性、騒音・振動の発生、耐久性、デザイン、施工期間などを考慮し比較検討して提案をおこなった。その際に、施工範囲と順序、仮設エリアを設定し、事務所利用者と工事関係者の動線が重ならないよう、事務所を安全に利用できることも考慮した。
HGC建築設計事務所藤岡 豊、宮内 杏里、菅原 宏