実績紹介
小口川第三発電所 導水路改良工事
(1)工事の目的
小口川第三発電所の導水路全長2,752mのうち、老朽・劣化による損傷が著しい2,199mの内張鉄管を取替える。
取替は、鉄管(内径1.274m)から、施工性・耐久性に優れたFRPM管(強化プラスチック複合管;内径1.200m)に変更し、機能回復を図る。
工事工程は3年間とし、2年目(H25年度)、3年目(H26年度)の設備停止期間において、既設内張鉄管の撤去と新設FRPM管の据付を行う。
(2)工事の概要
小口川第三発電所は、祐延ダムを取水口とした発電所であり、昭和6年11月より運転を開始し約80年が経過している。
この間、導水路の健全性を確認しながら、内張鉄管の部分的な取替・補修を行ってきたが、老朽・劣化が進んだことから、設備の機能回復、第三者事故防止のため、未取替部分である1~7号トンネル内張鉄管2,199mの取替工事を実施する。
(3)工事の特徴
既設内張鉄管から新設FRPM管へ変更に伴う、諸計算書の作成
工事箇所は人が歩けるだけの巡視路(L=約3km)の間にあるため、資機材等の配置,運搬計画の検討
撤去既設鉄管の搬出、新設FRPM管の搬入計画の検討
限られた断水期間(6月~10月末の約5ヶ月)で新設FRPM管据付計画の検討
工事監理(H24年~26年度)
1年目は仮設備設置と横坑拡幅
2年目は既設内張管の撤去,新設FRPM管の据付
3年目は新設FRPM管横坑交点閉塞、仮設備の撤去
【H25年度工事の確実な実施に向けた検討】
FRPM管等の資機材運搬の効率化、コンクリート運搬時間の短縮(品質確保)のため、索道設備は当初、4号横坑地点の1箇所であったが、2号横坑地点、6号横坑地点の2箇所を増設。
現地乗り込みを確実に行うため、有峰林道(小見線)の除雪を3月から実施。
6月より工程確保のため、トンネル内作業を昼夜2交替体制で実施。
FRPM管充填グラウトはトンネル湧水の強い材料に変更し、長スパン施工を実施。
担当者から
今回、新設FRPM管の据付工事ということで、パイプインパイプ工法におけるFRPM管の運搬・据付・裏込注入の一連の作業をみれたのは貴重な機会であった。
工事監理時の現場内徒歩による移動(L=約3km)、導水路内(D=1.2m)の移動等はきつく、特に裏込め注入時は雪の中での夜間(20:00~8:00)導水路内の監理で、寒くて大変つらいものであった。
資機材運搬、移動も車で行えない特殊な現場であり、工事監理を行う上で大変苦労いたしましたが、現在、発電所が運転され放水路から水が出ているのを見ると、いい経験ができたと思います。