実績紹介

山田新田地区 小水力発電施設実施設計

中小水力発電平成22年度富山県砺波農林振興センター様
山田新田用水発電所 水槽部

(1)業務の概要

本発電所の計画及び実施にあたり、基本設計、実施設計、建築設計、各種申請資料作成支援及び建築工事における施工監理業務を担当しました。

(2)発電計画の概要

本発電所は、最大使用水量2.64m3/sにて水槽(ヘッドタンク)から延長約350mの水圧管路で発電所に導き、有効落差25.2mを得て最大520kWの発電を行うもので、年間の供給電力量は約257万kWhを計画しています。

山田新田用水発電所の発電使用水量は、小矢部川第一頭首工から取水した水量のうち、山田新田用水路に最大2.98㎥/sを導水し、用水への分水を優先して残りを発電に利用するものであり、発電後は小矢部川に還元放流します。

水車は横軸フランシス水車を採用し、発電機は横軸三相誘導発電機を用いています。

なお、水槽の上流に設けた分水ゲートの開度制御により山田新田用水への通水を優先し、残りを発電所に導水するようにしています。

山田新田地区小水力発電所イメージ図

(3)本設計業務における特徴

①既設用水路の空き容量を活用した新たな発電用水利権の取得

農業用水を活用した小水力発電の多くは、完全従属の形態が一般的です。

しかし、これでは用水路の維持管理流量程度となる冬期はほとんど発電することができない等、十分な発電量を得ることは困難です。また、非かんがい期は期別用水流量を流しても用水路断面には余裕があります。

そこで、本発電計画において、河川流量データを基に検証した結果、年間を通じて既存の最大農業用水水利権流量を取水しても河川の維持に必要な流量を確保することが可能であることがわかりました。

これにより、年間を通して既存の最大農業用水水利権流量を取水して農業用水路への通水を優先させ、残りを発電使用水量に利用し、特徴的な発電形態となりました。

②景観や意識啓蒙に配慮した施設整備

発電所の建築設計にあたっては、地域の景観にも配慮して和風蔵型の意匠としたほか、周辺への防音対策を充実したものとしました。

さらに、再生可能エネルギーへの理解と意識啓蒙、子どもたちへの環境学習の活用にも配慮し、発電の仕組みを示したイラストや現在の発電電力量が電光表示される啓発板を設置しています。

山田新田用水発電所
山田新田用水発電所

山田新田用水発電所 水槽部

山田新田用水発電所 水槽部

③設計、施工時期と事業採算性

本発電所は、2010年度に県営の地域用水環境整備事業として採択され、2011年10月に工事着手、2013年3月に運転を開始しました。(総事業費6億1700万円)

本発電所の建設期間中に固定価格買取り制度が導入・適用されたため、当初計画時よりも高い売電価格を得られるようになり、本発電所の採算性はより高いものとなりました。

その他参考図

横軸フランシス水車
横軸フランシス水車
水圧管路(FRPM管)敷設状況
水圧管路(FRPM管)敷設状況

担当者から

従来のように、農業用水路の流量に従属して発電するものとは違い、用水路の施設容量に応じて発電する取水形式は先進的であったため、新規水利権の申請に伴う協議・調整など、発注者をはじめとして設計当初はいろいろと苦労しました。

しかし、農業用水活用による小水力発電の先進的事例のひとつとして、今も多くの事例視察等に関係者が訪れていると聞き、苦労の甲斐があったと考えています。

また、発電所の設計から完成まで現場を見ることができ、施工業者さんとも話をして行くことができたため、施工性を考慮した設計への配慮など、今後の業務に向けて大変勉強になりました。

水力発電の設計には、土木だけでなく電気・建築などの知識も必要ですし、各種メーカーとの連携も重要ですから、個人の力だけではとても対応しきれません。チーム一丸となって協力して行くことが重要だと痛感しました。

第二土木部中野 雅樹

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